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ドイツnanotoolsナノツールズ社や製品関係に関して、よくある質問をまとめました。

nanotools社の最新情報は「お知らせと新情報」の項目を参照ください。

よくある質問(FAQ=Frequently Asked Questions)の目次
  1. AFMとかカンチレバーて何ですか?
  2. EDB電子ビーム堆積て何ですか?
  3. HDCティップの材料、硬さや寿命は?
  4. HDCティップのコーン角度、アスペクト比などの寸法は?
  5. ティルト角度て何ですか?
  6. ハイドロフォビックて何ですか?
  7. デグラデーションて何ですか?
  8. ティップの検査成績書はありますか?
  9. カンチレバーティップの使用・取り扱いで注意すべき点は?
  10. HDCティップとCNT(カーボンナノチューブティップ)との差は?
  11. 各種カンチレバーティップを比較したまとめでは?


よくある質問(FAQ=Frequently Asked Questions)の回答
  1. AFMとかカンチレバーて何ですか?
    (答) 詳細は電子顕微鏡関連の本をみていただくとして、AFMはAtomic Force Microscopeの略で原子力間顕微鏡と言います。電子顕微鏡内で測定したい試料表面の原子からのある種の力(フォース)を非常に尖ったプローブで検出して試料表面の像を取り出すものです。この時尖ったプローブをカンチレバーと言います。
    弊社資料:「AFMを上手に使うためのプローブ知識」が必要な方は別途Eメイルにてお申し込みください。


  2. EDBティップ(探針)て何ですか?
    (答) EDBはElectron Beam Induced Depositionの略で電子ビーム堆積のことを言います。電子顕微鏡内の微量のガスから電子ビームの資料表面の焦点位置にビーム効果で有機分子が蓄積される現象を使います。堆積したい位置に電子顕微鏡の電子ビームの焦点を合わせ放置しておくと、その場所に有機物が堆積されしだいに針状構造物が成長していきます。このようにして作ったティップです。
    ナノツールズ社はこの堆積でいくつかの特許を所有しております。


  3. HDCティップの材料、硬さや寿命は?
    (答) HDCティップの材料はダイヤモンドやナノ結晶の金属を含んでいる通常アモルファスカーボンといわれているものが主成分です。ナノメートル寸法の硬度は測定不可能ですが、ヤング定数で比較すればダイヤモンド1.0TPAに対してHDCは0.6TPAで、通常ティップのシリコンは0.047TPAといわれています。このためシリコンティップに比較して硬いがダイヤモンドのように硬すぎて破砕しやすいということがありません。寿命は一概にいえませんがシリコンティップより非常に持つことが現在顧客にて実証されています。

  4. HDCティップのコーン角度、アスペクト比などの寸法は?
    (答)

    コーン角度はまたはティプのティップ半径で作られるティップ角度と同じで、円錐形状のためにコーンと呼ばれます。カンチレバーではこの半分の角度のハーフコーン角度が使用されます。HDCティップではティップ半径2-3nmから製作できます。現在ナノツールズ社ティップは大きく分けて4種類あります。ティップシャフトの直径はティップ長さで異なりますが10nmくらいからで、ティップ長さもシャフト直径が150nmくらいですと、最長で8000nm(8µm)もあります。アスペクト比は縦横の比率のことでカンチレバーの場合にはティップシャフト直径と長さの比です。ナノツールズ社は1:40という高アスペクト比のティップの製作も材料がHDCのために行なえます。これは200nmの直径に対して長さが8µmです。
    上記写真は標準のMタイプの寸法の例です。


  5. ティルト角度て何ですか?
    (答)
    表面性状測定機なり輪郭形状測定機でも測定サンプル面に対して触針を垂直にセットする事が測定誤差を少なくするベストな方法です。一般にこれらの測定機では触針を保持する駆動ユニットなどが測定スタンド上で測定サンプル面に対して上下に動かす事が出来ますので触針と測定サンプルはお互いに目視でも十分に垂直に合わせる事ができます。しかし一般的なAFMではそのような調整が難しいこと、しかも現在のAFMのスキャナの駆動原理では、縦方向の広範囲測定では、どうしても水平補正を画像処理で行う必要があり、画像処理ではデータの信頼がおちてしまいます。例えばNanoWorld社の場合には測定サンプル面に対して垂直と言うことに関して、カンチレバーのカタログの中でハイアスペクトレイショカンチレバーは角度補正済みですとわざわ言及しています。例えばタイプARST-NCHR (Tilt compensated High Aspect Ration (>5:1), Non-contact/Tapping Mode - High resonance frequency - Reflex coating) には上のような写真が添付されてあります。そして側壁90°のよな測定サンプルの測定はティップ中心軸に13°傾けて補正してあります。このようにすると溝のイメージ像は両壁が対象にとれます。この13°という角度は大手AFMメーカのカンチレバー取付け角度が13°のためです。nanotools社では例えばティルト角度が補正されていないNanoWorld社ArrowNCに対してもスーパーシャープロングのHDCティップを堆積した場合は、ハイアスペクト準拠のティップですからnanotools社でArrowNCの中心軸に対して13°に補正して堆積します。そしてこの角度の補正は±1°以下の精度で堆積します。なお現実に日本のある顧客様のご依頼でこのティルト角度8°でnanotools社に特別に堆積してもらったこともあります。Veeco社製造ライン用AFMではこの角度が3°という機種もあります。


  6. ハイドロフォビックて何ですか?
    (答) 疎水性、耐水性、超撥水加工などと訳されています。HDC材料はこのために水中でも水になじみません。そのためティップと試料間には化学作用が起こりません。しかし自然の酸化コーティングのシリコンティップは水中でその酸素(O)による化学作用でティップと試料間にバブルが生じます。HDCティップは酸やアルカリに対してもほとんど化学作用が起こりません。

  7. デグラデーションて何ですか?
    (答) 使用することにより磨耗や欠けなどでティップを劣化させることです。

  8. ティップの検査成績書はありますか?
    (答) ご希望により検査成績書の添付ができます。一般に電子を使ってイメージングする装置は測定中に測定物やティップが汚染されます。検査するだけでも汚染するおそれがありますが、ナノツールズ社は低電子エネルギで不活性ガス及びの超高真空状態下で作動できる特殊SEMで、ティップを汚染させずに検査します。

  9. カンチレバーティップの使用・取り扱いで注意すべき点は?
    (答) EDB探針の使用及び取り扱いに関する情報
    EBD探針は顧客仕様に基づき個々に製造され検査されたAFM探針です。これらは長い耐久性および化学的な安定性とともに高分解能という特長を持っています。これらはすべての電子顕微鏡の走査(スキャニング)アプリケーションにおいてその他多くのAFM探針として使用可能です。しかしながら最も良い結果を得るために、以下に示したクリーニングと走査条件について注意を払ってください。
    クリーニング:
    通常の走査作業においてはEBD探針が汚染されるということに注意する必要はありません。というのはほんの少しの素材だけが特にEBD素材にコンタミがつきやすいだけだからです。とりわけ粘着性の試料、または例えばリソグラフィなどのようにEBD探針を試料へと深く入れる場合には汚染が発生します。このような場合は、探針を溶剤(水、アセトン、アルコールなど)へと注意深く浸し、圧縮窒素または圧縮空気で吹き乾かす事を推奨しています。またEBD素材はほとんどの溶剤から侵される事はありません。我々のこの意見は残念ながらプラズマクリーニングやその他の物理的なエッチングを使用している方には落胆させる事になります。しかし反応プラズマはEBD探針を確かに侵してしまうのです。
    AFM操作における取り扱い:EBD探針は高い負荷においても(その他ほとんどのAFM探針とは逆に)損害を受けたりまたは悪化する事はないと言う事実によって特長つけられています。EBD素材自身はダイヤモンドと比較できるような硬度を示しますが、ある種の柔軟性を持っています。そのためEBD探針は非常に高い負荷においても弾性的に曲がる傾向があります。そのため特に長く非常に鋭いティップでは、高周波でかつ低いセットポイント、すなわち負荷が大きく走査範囲も大きい場合にはこれは画像化において誤差を導き出してしまいます。この場合これらの力を減少させる事、主にセットポイントを増やす事やその他の走査パラメータを再調整する事によってティップは曲がらず最初の素晴らしい画像品質を示すようになります。一般的には長いティップではゆっくり走査する事を推奨しています。
    電子顕微鏡における画像化:一般的なすべての電子顕微鏡による画像化システムは検査の際には、超高真空下での作業においてさえも試料にコンタミをつけてしまいます。特にEBDティップ自身は簡単かつ非常に素早く汚染されてしまいます。ほとんどのケースにおいて、この汚染(*)はもはや"本当の"EBDティップでないほどにその幾何形状やそのユニークな素材特性を深刻なほどに変更して悪くしてしまいます。このため電子顕微鏡における多くの画像化システムに対する多くのアドバイスをしなければなりません。nanotools社の証明書では、すなわち高分解能な画像を得るために、低電子エネルギーの使用で不活性ガスおよび超高真空状態下で作動できる特殊SEMを使用しています。この状況下でのみ非破壊画像化プロセスが保証されます。
    (*) 弊社資料「AFMを上手に使うためのプローブ知識」を参照ください。


  10. HDCティップとCNT(カーボンナノチューブティップ)との差は?
    (答)
    SII社資料によれば、CNTには大別して,SWCNT(Single Wall CNT)とMWCNT(Multi Wall CNT)の二種類があるそうです。MWCNTはSWCNTが内部にいくつも重なって入っているものと考えられます。直径(先端半径と太さ)だけで見た場合SWCNT(Single Wall CNT)は2nm~程度と小さくなりますが、実はそのチューブの周囲の壁から1本でているだけでチューブ中央とは限りません。またSPMで扱うには機械的強度が小さく、現在では利用範囲も限られているとのことです。一方MWCNT(Multi Wall CNT)の太さは8~30nm程度であり、極先端部は現在市販されているシリコンティップのSST(Super Sharp Tip: 先端曲率半径5nm以下)に比べれば決して鋭くはありませんがほぼCNTの軸の真中にあると考えられます。
    ナノツールズ社HDC堆積のカーボンナノティップM-CNTは既に90-70nmノード用に開発され実用化されているたシャフト直径55nm最小長さ600nmのメトロジティップM-シリンダの最新バージョンで、次世代65-40nmノード用にシャフト直径20nmでCNTに対抗して製作したものです。現状はシャフト直径20nmで最小長さ500nmという高アスペクトティップです。しかもティップ先端はこの20nmシャフト軸の中心上にあり円錐形状でその曲率半径は10nm以下です。しかもこのティップ長さやティップ位置(角度精度すなわち上述5.のティルト角度補正は軸の両方に対して1°以下です)も制御できます。


  11. 各種カンチレバーティップを比較したまとめでは?
    (答) 一般的なシリコンやCNTとEBD技術によるHDCティップの比較をまとめると以下のようになります。
    現在EDBティップは4種類で(1)トレンチ用(2)スーパーシャープ(3)リソグラフィ(4)ライフサイエンスです。
    (1)トレンチ用の母材のカンチレバーはNanoWorld社ArrowNCとNCH、さらにVeeco社TESTです。ティップは円錐形状でティルト角度は13°と3°の2種類でティルト補正±1°です。ティップにはシリンダ形状もありティルト角度は13°と3°の2種類で、この場合のティルト補正±0.5°です。CNTの場合ですと母材に接着させるためにティルト角度調整は難しくなり、また硬いために所定の長さに切る事も難しくなり、逆に成長させようとしてもその長さ調整が難しいとのことです。シリコンですと細く長くは出来ますが、軟らかい結晶のためにティルト角度0°は出来ても13°とか3°は出来ないようです。
    (2)スーパーシャープは一般に粗さ測定用で軟らかいカンチレバーのNanoWorld社FMRにでもHDCは堆積出来ます。ティップは円錐形状でティルト角度は13°と3°の2種類でティルト補正±1°です。CNTをつけるのもあるようですが、ティルト補正が難しく±20°とも言われています。
    (3)リソグラフ用に関してはHDCティップは大きいのも出来るようになりました。
    (4)ライスサイエンス用では日本のオリンパス様のティップにHDCの堆積が可能です。以上標準的な考えですが他の母材のカンチレバーを使ったり、またティルト角度を変えたものの製造も可能です。
    (5)その他Veeco社CD用電顕のティップは形状がうるさくなっていますが、nanotools社堆積HDCティップでは以前は頭でっかちのような形状は出来ませんでしたが、現在は出来るそうです。なおSEMでなく何故CD-AFMかと言うとSEMはサンプルを破壊しないと測定出来ませんが、CD-AFMは破壊しなくても測定できるためです。以上ティップはEBD技術によるHDCの堆積がベストと言えます。





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